印刷物の製造工程で、いったい何をするのか? ―― 組版編

私は営業出身なので、営業についてならまだまだ書きたいことがヤマのようにあるのですが、それはまた後日にとっておきたいと思います。
続いては、製造部門の説明をしていきましょう。

製造業の要である製造。
印刷業ではいくつかの工程に分かれています。

【 印刷の製造工程 】

  • 組版  印刷のレイアウトをつくる
  • 製版  印刷の版をつくる
  • 印刷  印刷をする
  • 加工  印刷物を加工する(製本など)

それぞれ専用の機械があり、専門的な技術を身につけた作業者が製造にあたります。

では、それぞれの工程をくわしく見ていきましょう。
まずは組版からです。

組版とは、得意先から営業が受け取った原稿をもとに、印刷用のレイアウトを作成することです。
以前は活字を組んで版をつくっていたため、このように呼ばれています。しかし現在では、デジタルデータでのレイアウト作成が一般的です。

使用する機械は一般的なPCで、レイアウトソフト*1を用いて作成します。
組版でつくられるレイアウト原稿は「版下」と呼ばれ、この版下が実際の印刷物の原稿になります。

営業の説明で登場した「校正」は、この組版の段階の作業です。
まず、得意先から受け取った原稿をもとに版下をつくります。この、最初につくった版下を「初校」と呼びます。
初校を得意先に提出し、内容の確認をしてもらいます。そして、修正したい箇所に赤字を書き込んで戻してもらいます。
赤字入れされた初校をもとにつくった版下は「再校」と呼びます。再校を得意先に提出し、再び得意先の確認を受けます。以下、三校、四校……と続きます。

【 校正の流れ 】

  • 入稿     得意先 → 営業 → 製造(組版
  • 初校出校  製造(組版) → 営業 → 得意先
  • 初校戻し   得意先 → 営業 → 製造(組版
  • 再校出校  製造(組版) → 営業 → 得意先

以下、校了まで同じ

このような流れを繰り返し、得意先が 「もう直さなくてOK!」 と納得するまで、何度でも校正は続きます。
この 「直さなくてOK!」 となることを、「校了」と呼びます。版下の完成です。

通常、組版の作業者は得意先と対面することがありません。
ですから受け取った原稿、または戻された版下に書き込まれた赤字が、得られる情報のすべてになります。
その情報をもとに、いかにして「得意先の希望通りの成果物をつくるか」が重要です。
相手の意図をくみ取る能力が必要といえるでしょう。

また、小さな赤字も漏らさず拾い上げる注意力が要求されます。
どんな箇所にどんな赤字が入ってくるのかは、受け取ってみるまでわかりません。
受け取る原稿に同じものは2度とないのです。
いつも新しい環境での作業、ともいえます。
もちろん、修正漏れのないように検査の体制が整えられている場合もありますが、

まずは赤字をもとに修正する作業者が間違えないこと!

それがもっとも大切です。


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*1:通常よく使用されるのは、Adobe社が提供する、In Design、Illustrator、Photo Shopなど。